姫路市立美術館の所蔵品のひとつに『大日本魚類画集』という版画集があります。魚類の生態を博物画的に描いた作品で、版画でありながらまるで肉筆かと見まがうようなできばえです。単独の絵として見ても面白いのですが、多くをまとめてみると、さながら絵で見る水族館の趣があります。
この作品のように、美術作品には、連作で成り立っているものがあります。こうした作品は、まとめてみることでより一層理解が深まることでしょう。しかしながら、美術館の所蔵品展の場合、代表的な数点を展示するだけになってしまいがちです。
今回の展示では、連作で成り立つ作品に焦点をあてて展示いたします。前述の『大日本魚類画集』の他、ピカソが化粧品会社の社長をさまざまなタッチで描いたスケッチ集『ヘレナ・ルビンスタインの肖像』や、ゴヤの有名な四大連作版画集のひとつ、『ロス・カプリチョス』、地元姫路の洋画家、尾田龍が瀬戸内や離島を廻って描いた油絵のシリーズなど、約450点の作品を前期後期に分けて展示いたします。
同一のモティーフをさまざまなタッチで捉えたもの、同じ技法で同じカテゴリーに属する対象を描いたものなど、さまざまな種類の連作をご鑑賞ください。
(姫路市立美術館 学芸課課長補佐)
【展覧会】連作の小宇宙 ピカソの肖像画から大日本魚類画集まで
【会期】前期:2018年4月7日(土)~5月20日(日)/後期:2018年5月22日(火)~6月24日(日)
【会場】姫路市立美術館(兵庫県姫路市本町68-25)
【TEL】079-222-2288
【休館】月曜、4月30日(月・休)開館
【開館】10:00~17:00(入場は午後16:30まで)
【料金】一般600円 大学・高校生400円 中学・小学生100円 ※5月18日(金)は「国際博物館の日」のため無料
【関連リンク】姫路市立美術館