「公共施設に設置するにふさわしい知識・知性を具現化した歴史上の人物」をテーマに据えた「ゆくはし国際公募彫刻展」(ゆくはしビエンナーレ)。第2回目の今回は日本を含む8カ国から31点(うちグループでの応募1件)が集まり、第一次審査で入賞作品5点が選ばれた。
第二次審査での大賞選考は激論の末、窪信一朗の《卑弥呼》が選ばれた。賞金は1000万円。窪は1979年鹿児島県生まれ。筑波大学大学院を修了し、教職のかたわら日展や日彫展で発表を続けている。現在、日展会友、日本彫刻会正会員。受賞作品は、人々をまとめ、導き、日々の暮らしを守ろうと決意し、銅鏡を左手に持って天を仰ぎ見る卑弥呼を表現した作品で、シンプルな造形と豊かな表情、生命感あふれる顔の表現などが評価された。
また、市民の投票による「市民賞」(賞金20万円)と同時に、行橋市内の小学5年生から中学3年生までの投票による「子ども大賞」に選ばれたのは、髙野眞吾氏の《知恵の女神》。知恵・芸術・工芸・戦いを司り、学問の神・フクロウを従えた女神アテナをモチーフにした作品で、全体的・細部の表現に熟練度を感じると評された。
審査は後小路雅弘(九州大学大学院教授)、鈴木重好(エディター)、田中純(行橋市長)、書面による審査は峯田敏郎氏(彫刻家)、奥村信之氏(特別審査員、第1回大賞受賞者)、アドバイザーは田中修二氏(大分大学教授)の各氏。大賞授賞式は2019年3月を予定している。
【関連リンク】ゆくはしビエンナーレ2019