カフェのギャルソン、ポスターの前に佇む女性、逆光を浴びる馬止めやセーヌの流れ……。旅で出会った人々や光景を描き留めてきた洋画家・成澤隆吉(1940年東京生まれ、現展会員)が、パリでの旅を振り返る個展を開催する。
その作品の大きな魅力は、重厚な中に品格漂うマチエール。「歴史あるパリの街は〝積み重ね〟が無いと描けない」と語り、堅守にして豊かな表情を持つ絵肌を求めて何度も層を重ねている。今展に際して過去作に改めて向き合い、幾つかの作品は新たな画材・オイルバーを用いて加筆修正。キャンバスの中に、成澤自身の長い年月も積層された。
会場では10年前の作品から新作の半具象・抽象作品まで、40~0号の約40点を展示。素描も見どころの一つとなる。美術評論家のワシオ・トシヒコ氏は成澤作品について「パリはパリでも、おしゃれなパリに留まらない。異邦人が盛んに行き交う自由なフランスらしく、汗くさいブルースやジャズふうでもある」と評した。そのダイナミックな色彩と造形は、観る者にパリの息遣いを感じさせるだろう。
【展覧会】成澤隆吉個展―パリーへの旅―
【会期】2018年9月15日(土)~22日(土)
【会場】ギャルリー・パリ(横浜市中区日本大通14 旧三井物産ビル1階)
【TEL】045-664-3917
【休館】日曜
【開館】12:00~19:00(最終日は17:00まで)
【料金】無料
【関連リンク】ギャルリー・パリ