“墨美麗組”によるパフォーマンス―東京都美術館「第57回 現水展」

2018年10月11日 18:26 カテゴリ:最新のニュース

 

 

10月14日まで東京都美術館にて開催されている「第57回 現水展」。主催する「現代水墨画協会」は、水墨画家・根岸嘉一郎を理事長として、50年以上の歴史を持ち、古来よりの水墨画の伝統と先鋭的な時代感覚の融合を目指した水墨画の公募団体である。10月8日、同展の会場で水墨画家3人によるライブペイントパフォーマンスが行われた。

 

今回が初めてのお披露目となった“墨美麗組(すみれぐみ)”は、根岸理事長、そして副理事長の鈴木昇岳の導きのもと、「現代水墨画協会」の会員によって構成された。メンバーは横山円(よこやま・まどか、同会理事)、田村真夢(たむら・まゆめ、参与)、樋口鳳香(ひぐち・ほうか、参与)の3人。昨年、「全国平成水墨画協会」にて結成された“水墨ueen”が、ゲストとして同展でパフォーマンスを披露したことは記憶に新しいが、今回も「幅広い層への水墨画の普及」を主眼として、水墨画の裾野を広げる一助となるべく、3人の女流水墨画家が奮闘した。

 

墨美麗組のパフォーマンスを見ようと多くの観衆が詰めかけた

 

田村真夢は仮面姿の妖しい装いで登場。水墨画の枠にとらわれない自由な発想をみせる

 

完成した作品とともに。即興の力強さに流麗な墨線、三者三様の「光と影」が生み出された

 

華やかな衣装を纏い、音楽に合わせて画面に筆を走らせる。それぞれがそれぞれのやり方で作品を作り上げてゆく。刷毛や段ボールの破片で墨の面を作り上げてゆく者や、細い筆で踊るようにモチーフに命を吹き込んでゆく者。三者三様の技法を目の前に、来場者も作品が生まれる過程を比較しながら楽しんでいる様子であった。

 

ライブペイントのテーマは「Sol y Sombra 光と影」。「光と影」のように対比のなかで語られる言葉は「昼と夜」「静と動」「生と死」等、枚挙に暇がないが、水墨は「墨と余白」の対比の世界である。120号の真っ白な和紙に墨色が表現されていく。盛ることや反復のできない一回性の芸術である水墨画。一回性の行為が作り上げる力強さがそこにはある。出来上がった墨の世界とともに、白の余白が際立つ。その対比はまさしく今回のテーマである「光と影」を表していた。

 

来年以降も選抜されたメンバーによるパフォーマンスが開催される予定で、「現代水墨画協会」は引き続き水墨画の普及に努めていく。

 

左から鈴木昇岳副理事長、田村真夢、横山円、樋口鳳香、根岸嘉一郎理事長

 

第57回 現水展

【会期】2018年10月7日(日)~14日(日)

【会場】東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)

【TEL】03-3823-6921

【開館】9:30~17:30(入場は17:00まで、最終日は15:00まで)

【料金】無料

 

【関連リンク】
現代水墨画協会
現水展・小村欣也の水墨画教室(画廊楽にて開講予定)

 


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