昨年より開始した「上野アーティストプロジェクト」の第二弾が公募展のふるさと、東京都美術館にて開催される。今回は「書の鑑賞」をテーマに、書の公募団体に所属する作家をテーマ別に紹介。初めて現代の書に触れる人間でも楽しめるよう、作家の言葉なども添えてその魅力を発信する。
出品作家6名は秋山和也(謙慎書道会)、大橋洋之(謙慎書道会)、金敷駸房(創玄書道会)、菊山武士(産経国際書会)、鈴木響泉(朝聞書会)、千葉蒼玄(書道芸術院)の面々。
「公募団体展の懐の深さ、作家ひとりひとりの世界観を楽しんでいただければ幸いです。会場と作品の相乗効果を体感してください。」
と語る担当学芸員の田村麗恵氏は、多様な書のありようを呈することでこれまで書を敬遠していた人々の固定観念を打破したいと話す。美術史や仏像彫刻が専門だった田村氏、はじめは書の何が良いのかわからなかったが、作品に触れ、作家とコミュニケーションを重ね、書に親しむうちに「日本の《かな》スゴイ!」と、その深甚なる魅力にどっぷりと嵌まり込んだらしい。
今展は大きくふたつの章立てで構成され《1 見る書と知る書》では、まずは作品と向き合って「見る」ことから鑑賞を始める。解説文や作家インタビュー映像など資料を手掛かりに、現代の書、とりわけ近代詩文書の発生した歴史的背景を「知る」と同時に、かなや漢字の伝統的書法の今日的なあり方について造詣を深める事ができる。
《2 感じる書》では、1~4文字程度の少数の漢字によって構成される大字書や、文字の形態から逸脱した造形や、用具用材においても筆墨硯紙に限らず刷毛や布、ラッカーやエナメル、カンヴァスなどを用いることもある前衛書など、感性で受け止められる作品を紹介。
今展の鑑賞体験を通して、今日の書とはどのような表現なのかについて、見て、知って、感じることで、鑑賞者は奥深い書の世界へ誘われることだろう。
また、映像作家鈴木余位氏による出品作家の制作風景動画、インタビュー映像をYouTubeや展覧会場で公開する。こちらもあわせて楽しみたい。
【展覧会】上野アーティストプロジェクト2018 見る、知る、感じる―現代の書
【会期】2018年11月18日(日)~2019年1月6日(日)
【会場】東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
【TEL】03-3823-6921
【開館】9:30~17:30 ※金曜は~20:00 (入室は閉室の30分前まで)
【休室】11月19日(月)・12月3日(月)・17日(月)・25日(火)・31日(月)・1月1日(火・祝)
【料金】一般500円 団体(20名以上)400円 65歳以上300円 学生以下無料
【関連リンク】産経国際書会 毎日書道会 読売書法会 北井画廊
■展覧会関連事業
いずれも事前申込不要、参加無料(要当日観覧券)
詳細はウェブサイトにて
①出品作家によるアーティストトーク
【開催】12月1日(土)14:00~15:30 大橋洋之、菊山武士、鈴木響泉
12月8日(土)14:00~15:30 金敷駸房、秋山和也、千葉蒼玄
【場所】展覧会場内
※アーティストトークの作家は都合により変更となる場合あり。
②担当学芸員によるギャラリートーク
【開催】12月23日(日・祝)14:00~15:00
【場所】展覧会場内
③Gallery Talk by the Exhibition Curator
(English interpretation provided)〔英語の逐次通訳付きギャラリートーク〕
【Date】December 30(Sun.),14:00-15:00
【Location】In the exhibition galleries
Prior reservations are not necessary, but an exhibition ticket for that day is required.