駅舎の扉を開くと、巨大なアナウサギのオブジェが案内人と共に来場者を迎える。
今年4月、東京都選定歴史建造物に選定された上野・旧博物館動物園駅の一般公開に合わせ、期間限定のインスタレーション作品「アナウサギを追いかけて」が公開されている。
本企画は上野文化の杜新構想実行委員会とアーツカウンシル東京が主催する、社会包摂をテーマにしたプロジェクト「UENOYES(ウエノイエス)」の一環として立ち上げられた。同駅は1933年12月京成電鉄の駅として開業。以降、東京国立博物館や恩賜上野動物園の最寄り駅として利用されたが、1997年営業休止、2004年廃止となった。
京成電鉄と東京藝術大学の協働のもと実現した今回の改修と公開。西洋風の駅舎には東京藝大美術学部長・日比野克彦氏デザインの出入口扉も新設された。
当時の利用者による落書きもそのまま。駅が広く親しまれた跡が今も残る。
展示作品は上野のリサーチを基に書き下した物語を読み解きながら鑑賞するインスタレーションで、演出・羊屋白玉氏、美術・サカタアキコ氏による共作。また、国立科学博物館研究員・森健人氏が手掛けた動物の骨格標本3Dプリントレプリカも展示され、公開日全日「触れる鑑賞ツアー」を実施する(※定員満数のため受付終了)。
21年の時を経て再び扉が開かれた同駅は、今後上野エリアの新たな文化拠点の役を担うことが期待される。
東京藝大美術学部長・UENOYES総合プロデューサーの日比野克彦氏がデザインを手がけた出入口扉。上野エリアの9つの文化・芸術施設がモチーフとなっている。
「不思議の国のアリス」のように、ウサギと共に地下深くへと潜っていく。
京成電鉄のキャラクター・京成パンダと、壁に映される当時の駅舎写真のスライド。駅舎内にはかつての京成電鉄CMソング「グングン京成」を基にした音楽と、真下を通過する電車の走行音が響き渡る。
レプリカの骨格標本の中に一つだけ、本物の骨格標本が。その正体は駅の休止と同年に死去したパンダ・ホアンホアン。今回の企画に合わせて特別に公開。
改修に伴い設置された内部のガラス扉には、来場者からのメッセージが。扉の先には当時のままのきっぷうりばも見える(立ち入り不可)。
駅の外観。当初御料地に建設予定だった駅舎は、内外ともに西洋風の瀟洒な意匠。鉄道施設としては初めて、東京都選定歴史建造物に選定された。
【企画】UENOYES バルーンDAYS#2 旧博物館動物園駅「アナウサギを追いかけて」
【会期】2018年11月23日(金・祝)~2019年2月24日(日)の金・土・日曜
【会場】旧博物館動物園駅駅舎(東京都台東区上野公園13―25)
【開場時間】11:00~16:00 ※最終入場は15:30まで(定員制・混雑時は入替制)
【TEL】03-5834-2396
【料金】無料