国内初の大規模展「gone girl 村上早 展」サントミューゼ上田市立美術館にて開催

2018年12月26日 15:00 カテゴリ:最新のニュース

 

《かくす》銅版 118.0cm×150.0cm 2016年

《かくす》銅版 118.0×150.0cm 2016年

 

――手術で塞いだはずの穴は いまだ心に開いたまま。
――幼少期から続く 行き場のない恐怖。

 

「シェル美術賞展2015」入選、「FACE2015損保ジャパン日本興亜美術賞展」優秀賞、「第6回山本鼎版画大賞展」大賞……2015年、国内の主要な公募展において受賞を重ね、その世界観と表現が国の内外を問わず注目を集める気鋭の銅版画家・村上早(むらかみさき)。躍進目覚ましい新進作家の今日に至るまでの道程を辿る、国内では初となる大規模な展覧会がサントミューゼ上田市立美術館で開催される。

 

村上は1992年群馬県生まれ。幼少期のトラウマ《心の傷》を銅板特有の工程に重ね紡ぎ出す作品群は、観る者に答えのないストーリーを想像させる余地を秘めている。人間が日常生活を送る上では看過する、または気が付かぬふりをしている、心性の奥底の名指しえぬ深い部分に干渉、共振するからに他ならない。

 

村上自身の個人的な記憶を出発点としながらも版画作品として昇華し表されることで、作品は生命全般が共有するある種の普遍性をはらみながら、あたりまえとされることへの疑義と極めて純化した生と死の物語をも呈する寓意となる。

 

(左)《息もできない》銅版 85.0×98.0cm 2015年 「第6回山本鼎版画大賞展」大賞 (右)《ふうせん2》銅版 118.0×150.0cm 2018年

(左)《息もできない》銅版 85.0×98.0cm 2015年 「第6回山本鼎版画大賞展」大賞
(右)《ふうせん2》銅版 118.0×150.0cm 2018年

 

村上が深く刻み、残すことで、いなくなってしまった自らの少女性を留め続けるならば、わたしたちは時と共にうすれゆくもの、あえて見えないふりをしてやりすごしてきたものまでも、そこに探しに行くべきなのかもしれない。心に見立てた版に傷を請け負ってもらう、あるひとりの自浄の軌跡が多くの他者を揺り動かすのか。心ゆくまで堪能したい。

 

《だびにふす》銅版 118.0cm×160.0cm 2015年

《だびにふす》銅版 118.0×160.0cm 2015年

 

【展覧会】「gone girl 村上早 展」

【会期】 2019年1月12日(土)~3月17日(日)

【会場】 サントミューゼ上田市立美術館(長野県上田市天神3-15-15)

【TEL】0268-27-2300

【休館】火曜(祝休日のとき翌日)

【開館】 9:00~17:00(入館は16:30まで)

【料金】 一般800円 高大生600円 小中学生400円

【関連リンク】 サントミューゼ上田市立美術館

【関連記事】2017年11月29日記事 銅板の「傷」に、心の傷を重ねる――版画家・村上 早が刷りつづける「痛み」とは

【イベント情報】

◇ アーティストトーク(作家本人による作品紹介)
日時/2019年1月19日(土)14:00~15:00
参加方法/要展覧会観覧

 

◇ トークイベント “傷”と“痛み”
水原涼著の『蹴爪』で出会った3人が作品づくりや表現について語る。
出演/水原 涼(作家)、鈴木成一(装丁家)、村上 早(銅版画家)
日時/2019年2月3日(日) 13:30~15:30(受付13:00~)
場所/市民アトリエ・ギャラリー
参加費/1000円(展覧会観覧券付き)
定員/先着50名
参加方法/1月13日(日)~26日(土)美術館まで要電話申込。(火曜除く9:00~17:00)

 

◇ ギャラリートーク(学芸員による見どころ解説)
日時/2019年2月10日(日)、3月9日(土)  各日13:30~14:15
参加方法/要展覧会観覧券

 

◇ ナイトミュージアム
美術館の開館時間を延長。
日時/2019年3月2日(土) 19:00まで開館(最終入館18:00)

 

◇ 対話型鑑賞会
参加者同士で作品の印象などを自由に語りながら鑑賞できる。
日時/2019年3月2日(土) 17:00~18:00
参加方法/要展覧会観覧券
※対話型鑑賞時には、会場内が賑やかになる可能性あり。

 


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