人間は約60兆個もの細胞でなりたっているという。毎年独立展会場で大塚の作品を前にすると、そのようなことが頭をよぎり、及びもつかぬ生命の深淵に立たされているような心もとない気持ちになる。と同時に、画面を満たす無数の色の集合が不定形なかたちをなす柔らかく深い色彩のグラデーションが、視覚を通して体内に染みとおるようで、それは不思議と心地よく、生きていることを無条件に支え肯定してくれる慈愛に似た穏やかさを同時に覚えるのだ。
医業に携わるなかで実感した生命(いのち)の不思議をテーマに、独立展への発表を重ねる洋画家・大塚恵美(東京生まれ、独立美術協会会員、日本美術家連盟会員)による、日本橋三越本店では初となる個展が開催される。
大塚は日ごろから無意識下にある細胞に着目し、自らの感覚を研ぎ澄まし可視化させた世界を表現してきた。今展では0号から20号まで、小品を中心とした40余点の成果を発表する。
ミニマムな集合体の成す圧倒的ダイナミズムを会場で体感し、大塚の見つめる生命のかたちと、その先に見据える魂の記憶をたどりたい。
【展覧会】大塚恵美 洋画展 創生の詩
【会期】2019年5月15日(水)~20日(月)
【会場】日本橋三越本店本館6階美術サロン( 東京都中央区日本橋室町1-4-1)
【TEL】03-3241-3311
【開館】10:00~19:00(最終日は17:00まで)
【休館】会期中無休
【料金】無料