6月25日から30日まで、大阪市立美術館 地下展覧会室にて第43回由源全国書道展(併催:学生部展)が開催された。
由源社は1965(昭和40)年に発足。書の振興・発展、幽玄静寂な書芸術によって精神面の豊かさを取り戻すことなどを目指して活動し、77(昭和52)年に第1回展となる由源展を開催。半世紀にわたって歴史を重ねてきた。
主宰は、文化功労者で日展名誉顧問の尾崎邑鵬(1924年京都府生まれ)。大正・昭和・平成・令和と4代の元号を生き、95歳を越えたいまでも書道芸術の普及と後進育成に尽力する。最前線に立ち続けるその強靭な生命力には感嘆のほかない。秋の日展を代表格に、毎年、数多くの書道展に新作を発表し、日展をはじめ読売書法会、日本書芸院、全日本書道連盟などの要職を歴任。97年に勲四等旭日小綬章、2016年には文化功労者として顕彰されるなど、その業績は広く評価されている。
書作への姿勢は、謙虚であり、自らに厳しい。完成した作品について「私は枚数を書かないと出来ない。これもかなり書いた最終作。今回はここまで、と思ったものだが少々恥ずかしい」という言葉ものこる(「尾崎邑鵬と門人展」2011年、奈良市杉岡華邨書道美術館 図録より)。日々の鍛錬を欠かさず、未来を見据える書家の姿は、見る者を勇気づける魅力にあふれている。
なお、第43回由源全国書道展では、無鑑査の部・第一位賞に加藤松軒、常任委員の部・文部科学大臣賞に小林松逕の各氏が決まった。