2012年10月1日、東京駅丸の内駅舎復原工事の完成に伴い、東京ステーションギャラリーが6年半ぶりに活動を再開する。
同館は1988年に開業し、約18年間で105本の企画展を開催。来館者数は延べ約235万人を数えた。東京駅の歴史を残す煉瓦壁の美術館として親しまれてきたが、2006年より丸の内駅舎の復原工事に伴い、一時休館していた。
今回の再開で大きく変わったのは場所だ。新ギャラリーは、丸の内北口改札にほぼ直結する位置に移転した。また今回の工事により、東京大空襲により焼失していた駅舎の3階部分が復原され、ギャラリーも3階建て構造となった。1階入口からエレベーターで3階展示室まであがり、3階から螺旋階段を降りて2階へ。2階展示室を通り抜けると、北口ドーム・コンコースが見下ろせる廻廊へとつながる。廻廊を通ってミュージアムショップに出て、1階に戻るという構造だ。設備面でも、空調などが一新されたほか、駅舎全体が免震構造となっており、より本格的な美術館施設になったといえる。一方で、美術館のシンボルである赤煉瓦の壁面は受け継がれている。今回新設された3階がホワイトウォールであるのに対し、2階は煉瓦壁が広がる展示室。新旧で織り成す展示空間となった。
オープニング記念展は「始発電車を待ちながら 東京駅と鉄道をめぐる現代アート 9つの物語」。出品作家は、秋山さやか、大洲大作、クワクボリョウタ、柴川敏之、パラモデル(林泰彦、中野裕介)、廣瀬通孝、廣村正彰、本城直季、ヤマガミユキヒロの8名・1組だ。9月27日の記者内覧会では、冨田章館長が出品作家とともに作品解説ツアーを行なった。
今回の出品作家について冨田館長は、これまでに鉄道をモチーフにしてきた作家、またはサイトスペシフィック(特定の場所に帰属する)な作品を発表してきた作家を選定したと話す。ジャンルは立体、写真、映像、インスタレーションなど幅広い。各作家は駅舎という特殊な展示スペースに試行錯誤しながらも、その特徴をいかした新作を発表しており、館の再出発にふさわしい力作が揃った。(※本展の詳細は追って紹介します。)
オープニング展は2013年2月24日(日)まで。なお当面の間、入場は整理券制となる。
また、次回展以降は、2013年3月23日(土)~5月19日(日) 「木村荘八展(仮)」、6月8日(土)~7月15日(月・祝)「エミール・クラウスと印象派展(仮)」を予定している。問合せは☎03-3212-2485まで。
東京駅復原工事完成記念展
始発電車を待ちながら
東京駅と鉄道をめぐる現代アート 9つの物語
【会期】 2012年10月1日(月)~2013年2月24日(日)
【会場】 東京ステーションギャラリー
(東京都千代田区丸の内1-9-1東京駅丸の内駅舎内)
☎03-3212-2485
【開館時間】 平日11:00~20:00 土・日・祝日10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)※開館初日(10月1日)のみ10:00~14:00
【休館】 月曜、ただし祝日のとき翌日
(ただし10月1日、8日、12月24日、1月14日、2月11日は開館) 10月9日(火)、12月25日(火)、12月29日(土)~1月1日(火)、1月15日(火)、2月12日(火)
【料金】 一般500円 中学生以下無料
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