日本画

     
   

この作品は、最初から二点で一つに作品と考えて創作したものである。「映影」という題名は作画以前に心にあったもので、そのイメージから構成・構図ができたといっていい。人間の持つ「喜怒哀楽」の情を描くのは、絵画表現の大きな命題であるが、若い女性を前面に置き、背後に能舞の悲劇の人(俊寛・景清)を配した。<br />
二枚並べることによって制作意図を一層強く印象付けるように描いたが、どの程度それが達成できたか、今後の課題でもある。


人生は悲しい。芸術がその悲惨さを埋め合わせてくれるとも思わないが、人の運命なんて達成した結果とは無関係…。東日本大震災後の想いである。<br />
この形態と生・死のテーマは引き続き追求して行くつもりであり、この先どのような展開になるか、自分への挑戦である。

   

 
 

千葉玄象

CHIBA GENSHO

全国平成水墨画協会会長、墨千会主宰
 
1939年岩手県生まれ。
武蔵野美術大学卒業。全国平成水墨画協会会長のほか、日本中国水墨画友好協会会長、全国水墨画会審査委員、埼玉水墨画協会名誉顧問など歴任。著書に『はじめての水墨風景画』がある。

 
     

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