日本画

     
   

いつ頃だったか、夏の暑い日に住まいの近くを散策していたら、あるお宅の門のオレンジ色の花が目に止まった。花の少ない時季にとても華やかで、ぶら下がって咲いているのに風情を感じた。それからしばらくして、いたるところで目にするようになった。それが凌霄花だった。聞くと大変生命力の強い花だという。我が家にもついに登場し、あばら家には隙間から家の中まで侵入してこられ、それっきり断ち切ってしまった。


山の中を歩いていると、やがてかすかな水の音が聞こえ、次第にその音が大きくなる。早くその流れを見たくて歩幅が大きくなる。岩の間を流れる水の音は耳に心地よい。きっと、その先には滝があるだろう。少々の道程は気にならなくなる。ついに滝に出合うと、これまでの疲れが吹っ飛んでしまう。水のしぶきは気持ちいい。

   

 
 

岡村南紅

OKAMURA NANKO

南北墨画会常務理事、全国書画振興協会評議員

 
1948年福岡県生まれ。
文化学院で油彩・水彩・デッサンを学び、小倉美術学園で斉藤南北に師事、水墨画を修める。内閣総理大臣賞、文部大臣賞、福岡県知事賞など多くの受賞を重ね、個展も多く、また毎日文化センター、西日本新聞文化センター、読売文化センターなどの講師をつとめる。
著書に『四時花の墨絵』『続・四時花の墨絵』『暮しの中の墨絵』『四季の墨絵花の調べ』『水墨で描く季節の花々』など多数ある。

 
     

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