洋画

     
   

十数年前、パリのノートルダム寺院の広場でスケッチをしていた時のことだ。交通妨害のためかポリスがやってきて「お前はプロかアマチュアか?」と聞いていた。自分としてはプロの意識があるので、「私はプロだ」と言った。するとそのおまわりさんは「それならモンマルトルの丘の上に行け」と叫んだ。これは日本では考えられないやりとりだ。以降、私はどこへ行っても、プロとしてより絵の好きなアマチュアの気持ちでスケッチをしている。


私の住んでいる、神奈川県の逗子市には披露山と逗子アリーナと海岸がある。披露山には展望台と小さな動物園があり、市民の憩いの場だ。そんな逗子の海岸からは江の島と富士が見え、四季折々、朝な夕なに風景の醍醐味が味わえる。この絵は、雲が湧き、朝日に映える富士と、水と緑の交響をパノラマや山水画のイメージを膨らませながら描いたものだ。

   

 
 

佐藤泰生

SATO TAISEI

新制作協会会員、和光大学教授
 
1945年
1967年
1969年
1970年
1971年
1977年
1979年
1981年
1992年
2001年
2012年

大連生まれ
東京藝術大学油画科(小磯教室)卒業、大橋賞受賞
東京藝術大学大学院油画科修了
新制作展新作家賞受賞(同79年)
現代日本美術展入選、田村画廊個展
第12回昭和会展昭和会賞受賞
明日への具象展出品、安井賞展出品(同81・82・84・89)
東京セントラル美術館油絵大賞展優秀賞受賞(83佳作賞受賞)
両洋の眼展(〜09)
パリ在住(〜02)
第5回北京アート・ビエンナーレ
 
日動画廊、髙島屋、諏訪市美術館など個展多数。宮本輝『朝の歓び』(日本経済新聞朝刊掲載)、髙樹のぶ子『甘苦上海』(日本経済新聞朝刊掲載)、髙樹のぶ子『マルセル』(毎日新聞朝刊掲載)など挿画担当。

 
     

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