第44回新院展(東京都美術館)「瀬戸の静寂」 145.5×112.1cm 2012年
因島に白滝山がある。其処には、大、中、小、その他様々な石仏が山全体を埋め尽している。友達と山道の段々を追いながら進むと険しく、汗も滲み、辛苦労だんだんと強くなる。 もう少しで頂上だと思いながら登る。その時、鐘の音色が森閑の木々の葉を揺する響きに腰を伸ばし顔をあげると、空は澄みきった青色。 晩秋に染められた黄金の銀杏、太陽の光を受け、松の緑と相い和した自然の美に感動を受ける。頂上への道の両側に野仏の優しい微笑を受ける。その折、海から吹き登って来た潮風に背を押されて、一層の静寂を身に感じ絵の中にいるような思いであった。
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