第52回大調和展(東京都美術館)「拓かれた森」162.1×130.3cm
中野から植木の街・国分寺市に移り住み、緑の多い森のような街姿に感動し、早速絵を描き始めました。何代もの家主に育てられた欅の家敷林、街路樹など、気がつけば描いていました。次には北側の玉川上水土手まで足を運び、眼に入ってきた雑木林に、江戸時代に植えられたであろう木の間に生えて芽吹く若樹のそれぞれの根が絡んで土手を守っているたくましい生き方に描き残しておこうと、現場に通いながら仕上げた絵が3回受賞した喜びも体得しました。最近は立川崖の湧水池へと出かけています。地中から泌み出すチョロチョロの水が小川となり、湿原に流れて、植物、木を育てていて、そこの住み主、蒲っ原や、ハンの木ひこばえ、根元の草々の春秋冬の変化を写生しています。大調和会青森へのスケッチ旅行に参加した時、この辺の景色と違っている様子に興味を覚えて描いたのが「拓かれた樵森」です。厳しい自然や、人の力で拓かれても静かに群生している強い木、独特の樹肌を見せて生き続けている様子に驚き、20号から100号に描き出品しました。生きて育っている樹木は、私の永遠のテーマとなりました。
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